バイオリンを始めてしばらく経ち、ファーストポジションでの演奏に自信がついてくると、「そろそろ次のステップに進みたい」と考える方は多いのではないでしょうか。基礎的な技術が定着してきた中級者の段階では、ポジション移動やビブラートといった多彩なテクニックを駆使する曲に挑戦できるようになります。
しかし、いざ新しい曲を選ぼうとすると、自分のレベルに合っているのか、あるいは難しすぎて挫折してしまわないか、不安に思うことも少なくありません。適切な選曲は、モチベーションを維持しながら技術を向上させるために非常に重要です。
この記事では、脱初心者を目指す方や、さらなる表現力を身につけたい方のために、バイオリン中級者向けの曲選びのポイントと、おすすめの名曲を厳選してご紹介します。クラシックからポップスまで幅広く取り上げますので、ぜひ次の練習曲の参考にしてください。
バイオリン中級者向け曲を選ぶ前に知っておきたいレベルの定義と目安

一口に「中級者」と言っても、その定義は教室や指導者によってさまざまです。まずは、一般的にどのような技術レベルが中級とみなされるのか、その目安を明確にしておきましょう。
自分の現在の技術力を客観的に把握することで、無理のない選曲が可能になりますし、これから習得すべき課題も見えてきます。ここでは、ポジション移動、ビブラート、譜読みという3つの観点から、中級者に求められる要素を解説します。
ポジション移動(サードポジション以上)の習得度
バイオリンの初心者と中級者を分ける最も大きな要素の一つが、ポジション移動です。初心者のうちは、左手を指板の最も低い位置に固定する「ファーストポジション」だけで演奏することがほとんどですが、中級レベルになると、手を指板の奥へと移動させる技術が必須となります。
具体的には、サードポジション(第3ポジション)への移動がスムーズに行えるかどうかが最初の関門です。サードポジションを使うことで、より高い音域を出せるようになるだけでなく、弦を変えずにフレーズを繋げることが可能になり、演奏の表現力が格段に広がります。
さらにレベルが上がると、第5ポジションや第7ポジションといった、より高い位置への移動も求められます。中級者向けの曲では、これらのポジション移動が頻繁に出てくるため、正確な音程で素早く手を移動させる感覚を養っておくことが大切です。まずはサードポジションを確実にマスターしているかどうかが、中級曲への挑戦権を得る目安となります。
ビブラートのかけ方と音色のコントロール
バイオリンらしい美しく豊かな音色を奏でるために欠かせないのが「ビブラート」です。初心者レベルでは、まず正しい音程を真っ直ぐに出すことに集中しますが、中級者になると、音に揺らぎを与えて感情を込める技術が求められます。
中級者向けの曲を演奏する際は、単にビブラートがかけられるだけでなく、曲の雰囲気やフレーズに合わせてビブラートの幅や速さをコントロールできるかがポイントになります。例えば、情熱的な場面では深く速いビブラートを、静かで繊細な場面では浅く緩やかなビブラートを使い分けるといった工夫です。
また、弓の圧力やスピード(ボウイング)とビブラートを組み合わせ、音色の強弱や色彩を変化させることも中級者の課題です。常に一定のビブラートをかけるのではなく、「意図的にかける」ことができるようになると、演奏の質が一段階上がります。
譜読みの早さとリズム感の安定性
技術的な操作だけでなく、楽譜を理解する力も中級者には求められます。新しい曲に取り組む際、音符を一つひとつ数えながら時間をかけて解読している状態だと、演奏表現まで気が回らなくなってしまいます。
中級レベルでは、ある程度複雑なリズムや臨時記号が含まれる楽譜でも、パッと見てフレーズのまとまりや調性を把握できる「譜読みの力」が必要です。特に、シンコペーションや三連符、変拍子などが登場しても、メトロノームを使わずに一定のテンポ感を保てるリズム感の安定性が重要になります。
また、楽譜に書かれている強弱記号(フォルテやピアノ)や発想記号(ドルチェやエスプレッシーヴォなど)を読み取り、それを即座に演奏に反映させる能力も、中級者としての必須スキルと言えるでしょう。これらが備わっていると、新しい曲の習得スピードが早くなり、レパートリーを増やす楽しみも倍増します。
発表会で映える!中級者におすすめのクラシック名曲

バイオリンを習っているなら、一度は弾いてみたい憧れのクラシック曲があるはずです。中級レベルになると、誰もが知っている有名なメロディや、コンチェルト(協奏曲)の一部に挑戦できるようになります。
ここでは、発表会や演奏会での選曲にもぴったりな、聴き映えのするクラシックの名曲をご紹介します。技術的な課題を含みつつも、演奏効果が高い曲ばかりですので、目標を持って練習に取り組むことができるでしょう。
ザイツ「協奏曲第2番・第5番」:学生協奏曲の定番
フリードリヒ・ザイツの協奏曲は、バイオリン学習者が中級への入り口で必ずと言っていいほど通る「学生協奏曲(スチューデント・コンチェルト)」の代表格です。鈴木メソッドの教本にも収録されており、多くの学習者に親しまれています。
特に第2番や第5番は、明るく快活なメロディが特徴で、弾いていて非常に気持ちの良い楽曲です。技術的には、ファーストポジションとサードポジションの移動が頻繁に登場するため、ポジション移動の基礎を固めるのに最適です。また、重音奏法や速いパッセージも含まれており、弓のコントロールを磨く良い練習になります。
協奏曲という形式でありながら、プロが演奏するような難解すぎる楽曲とは異なり、学習者が無理なく弾きこなせるように作曲されています。ピアノ伴奏と合わせたときの響きも華やかで、発表会で演奏すれば「上手になったな」と周囲に感じてもらえる一曲です。まずはこの曲で、協奏曲特有の堂々とした表現を学びましょう。
ザイツの曲は、正確なリズムと元気の良いボウイングがポイントです。特に付点音符のリズムが甘くならないように注意して練習しましょう。
エルガー「愛の挨拶」:美しい旋律と感情表現
エドワード・エルガーが妻への婚約プレゼントとして作曲した「愛の挨拶(Salut d’amour)」は、その優美でロマンティックな旋律から、世界中で愛されている名曲です。技術的に超絶技巧が必要なわけではありませんが、美しく聴かせるためには高い表現力が求められます。
この曲の最大の魅力は、E線(一番高い弦)を使った伸びやかな高音域のメロディです。サードポジションやそれ以上のポジションを使った際の音程の正確さはもちろん、音と音を滑らかに繋ぐポルタメントや、情感豊かなビブラートの使い方が重要になります。
中級者が陥りやすいのが、音符をただ追うだけの平坦な演奏になってしまうことです。この曲では、フレーズの歌い回しや、テンポを揺らすルバートの感覚を養うことができます。「愛」をテーマにした曲ですので、どのような音色で愛を表現したいかを考えながら弾くことで、芸術的な感性を磨くことができるでしょう。
モンティ「チャルダッシュ」:緩急の差で魅せる
ヴィットーリオ・モンティの「チャルダッシュ」は、アンコールピースとしても頻繁に演奏される、バイオリン弾きにとっての憧れの曲の一つです。ハンガリーの民族音楽を基にしており、哀愁漂うゆったりとした序奏(ラッサン)と、急速で技巧的な後半部分(フリスカ)の対比が鮮やかです。
この曲は、中級者から上級者へのステップアップを目指す方に特におすすめです。前半部分ではG線を使った深みのある音色や表現力が試され、後半部分では素早い運指とスピッカート(弓を跳ねさせる奏法)などの高度なボウイングテクニックが必要とされます。
さらに、この曲の最大の特徴として「ハーモニクス(フラジオレット)」が登場します。弦に軽く触れて透明感のある高い音を出すこの技術は、慣れるまでは難しいですが、決まると非常に美しい響きとなります。緩急自在な演奏スタイルを身につけることで、聴衆を惹きつけるパフォーマンス力を養うことができる一曲です。
マスネ「タイスの瞑想曲」:繊細な表現力を磨く
オペラ『タイス』の間奏曲として作曲されたこの曲は、清らかで瞑想的なメロディが心に染み入る傑作です。多くのバイオリニストがレパートリーとして持っており、結婚式や各種イベントでの演奏依頼も多い楽曲です。
一見するとゆったりとしていて弾きやすそうに見えますが、実は中級者にとって非常に奥が深い曲です。長い弓を使って音を保つロングトーンの安定性や、弓の返しを目立たせないスムーズなボウイングチェンジが要求されます。また、ハイポジションでの演奏が多く、音程を外すと目立ってしまうため、左手の正確なコントロールが不可欠です。
中間部には少し情熱的になる部分があり、そこでのダイナミクス(強弱)の付け方も聴かせどころです。技術を見せつけるのではなく、音色そのものの美しさで勝負する曲であるため、自分の音とじっくり向き合う良い機会になります。繊細な感情表現を磨きたい方には、これ以上ない教材と言えるでしょう。
ポップスや映画音楽で楽しむ中級者向けバイオリン曲

クラシックの基礎練習は大切ですが、たまには息抜きとして、知っている曲や好きなジャンルの曲を弾きたいと思うこともあるでしょう。ポップスや映画音楽は、リズム感が鍛えられるだけでなく、人前で披露した時の反応も良く、演奏の楽しさを再確認できます。
ここでは、中級者が楽しみながらテクニックを向上できる、ポピュラー音楽のおすすめ曲を紹介します。原曲のイメージを大切にしつつ、バイオリンならではのアレンジを楽しんでください。
葉加瀬太郎「情熱大陸」:リズムと弓使いの挑戦
TBS系ドキュメンタリー番組のテーマ曲としてお馴染みの「情熱大陸」は、日本で最も有名なバイオリン曲の一つと言っても過言ではありません。ラテンのリズムに乗った熱いメロディは、弾いている本人も聴いている人も高揚させてくれます。
この曲のポイントは、なんと言っても独特のリズム感です。シンコペーション(裏拍)が多用されており、クラシックのリズムに慣れていると最初は戸惑うかもしれません。また、ディスコビートに乗せて、弓の元(手元)を使った力強い刻みや、スライド(グリッサンド)などの装飾的なテクニックも必要になります。
中級者向けのアレンジ譜も多く出版されていますが、かっこよく弾くためには、楽譜通りに弾くだけでなく「ノリ」を出すことが重要です。細かい弓使いのコントロールや、重音での迫力ある演奏など、ポップスならではの奏法を学ぶのに最適な一曲です。完成した時の達成感は格別でしょう。
久石譲「人生のメリーゴーランド」:ワルツのノリを掴む
スタジオジブリ映画『ハウルの動く城』のメインテーマであるこの曲は、哀愁を帯びたワルツ(3拍子)のリズムが特徴的です。優雅でありながら、どこか切なさを感じさせるメロディは、バイオリンの音色と非常に相性が良く、多くのファンに愛されています。
演奏する上で大切なのは、ワルツ特有の「円を描くような」リズム感です。1拍目に重きを置きつつ、2拍目、3拍目を軽やかに流すことで、メリーゴーランドが回っているような雰囲気を醸し出すことができます。ベタっと弾いてしまうと曲の魅力が半減してしまうため、弓のスピードに変化をつける練習になります。
また、曲の後半に向けて転調を繰り返しながら盛り上がっていく構成になっているため、調号の変化に対応する譜読みの力も鍛えられます。高音域でのビブラートを美しくかけることで、映画の世界観をよりドラマチックに再現できるでしょう。感情を込めて歌い上げるように弾きたい一曲です。
ディズニー「美女と野獣」:デュオでも楽しめる
ディズニーの名作アニメーション『美女と野獣』のテーマソングは、美しいバラードとして広く知られています。ゆったりとしたテンポで、メロディの美しさが際立つ楽曲であるため、基礎的な音程と音色の良し悪しがはっきりと出ます。
この曲は、ソロで弾いても十分に美しいですが、バイオリン二重奏(デュオ)や、ピアノとのアンサンブルで演奏するのにも適しています。主旋律と対旋律(ハモリ)のバランスを聴きながら弾く練習になるため、アンサンブル能力を養いたい中級者におすすめです。
技術的には極端に難しい箇所は少ないものの、長いフレーズを一息で歌うようなブレスコントロール(弓配分)が求められます。音が途切れないように滑らかに弓を返すレガート奏法の習得に役立ちます。誰にでも好まれる曲なので、結婚式の余興やホームパーティーなど、様々なシチュエーションで披露できるレパートリーとして持っておくと便利です。
葉加瀬太郎「エトピリカ」:癒やしの音色を追求
「情熱大陸」と並ぶ葉加瀬太郎氏の代表曲であり、テレビ番組『情熱大陸』のエンディングテーマとして使用されていました。激しいリズムの前者とは対照的に、雄大な自然を感じさせる穏やかで優しいメロディが特徴です。
この曲は、G線やD線といった低い弦を使った温かみのある音色を出す練習に最適です。中級者になると高音域の華やかさに目が行きがちですが、低音域でしっかりと響かせることができるようになると、演奏に深みが出ます。弓をたっぷりと使い、弦の振動を最大限に引き出す感覚を掴みましょう。
また、ゆったりとした曲調だからこそ、リズムが走ったり遅れたりしないように注意が必要です。シンプルなメロディの中に、どれだけ豊かな表情を詰め込めるかが腕の見せ所です。聴く人を癒やすような、包容力のある音色を目指して練習してみてください。
メモ: エトピリカとはアイヌ語で「くちばし(etu)が美しい(pirka)」という意味を持つ海鳥の名前です。海を飛ぶ鳥の姿をイメージして弾くと、より表現が豊かになります。
テクニック向上に役立つ練習曲(エチュード)の選び方

憧れの名曲を弾くためには、その土台となる基礎技術の向上が欠かせません。曲の練習だけでは補いきれない技術的な課題を克服するために、練習曲(エチュード)を並行して進めることが、中級者からの上達の近道となります。
ここでは、中級レベルの方が取り組むべき代表的なエチュードや教本、そしてその活用方法について解説します。地味な練習に思えるかもしれませんが、これらをしっかりとこなすことで、難曲に挑む際のアプローチが驚くほど楽になります。
カイザー・クロイツェルの活用法
バイオリン学習において、最もスタンダードな練習曲集として知られているのが「カイザー(Kayser)」と「クロイツェル(Kreutzer)」です。これらは中級者にとってのバイブルとも言える存在です。
まず取り組むべきは「カイザー」です。全36曲からなり、様々なボウイングパターンや指の動き、ポジション移動が網羅されています。ただ音符を追うだけでなく、指定された弓使い(スラー、スタッカート、マルカートなど)を正確に守ることが重要です。一曲一曲が短いので、毎日のウォーミングアップとして活用するのも良いでしょう。
カイザーを修了した後に進むのが「クロイツェル」です。全42曲あり、より高度な技術と音楽性が求められます。特に2番や8番などの有名な曲は、プロのバイオリニストでも基礎確認のためにさらうことがあるほど重要な要素が詰まっています。トリル、重音、急速なパッセージなど、バイオリン演奏に必要なあらゆる技術が含まれているため、焦らずじっくりと取り組むことをおすすめします。
音階教本(小野アンナなど)での基礎固め
曲を練習していて「指が回らない」「音程が安定しない」と感じた時、立ち返るべきは「音階(スケール)」です。音階練習は全ての演奏の基礎であり、中級者こそ音階練習に時間を割くべきです。
日本では「小野アンナ」の音階教本が広く使われています。一つの調に対して、長音階・短音階だけでなく、3度、6度、8度(オクターブ)の重音練習も含まれており、体系的に左手の形を覚えることができます。特に中級レベルでは、全ての調(全調)をサードポジション以上を使って弾けるようにすることが目標となります。
音階練習を行う際は、漫然と弾くのではなく、自分の音程を厳しくチェックしながら弾くことが大切です。また、一つの音階を使って、様々なリズムやボウイングで変奏して練習することで、右手のコントロール能力も同時に養うことができます。毎日の練習の最初に必ず音階を取り入れる習慣をつけましょう。
音階練習は「調性感覚」を養うためにも役立ちます。曲の中で臨時記号が出てきても、その調のスケールが頭に入っていれば、自然と指が正しい位置に動くようになります。
重音奏法の導入と練習のポイント
中級者向けの曲になると、2つの弦を同時に弾く「重音奏法(ダブルストップ)」が頻繁に登場します。これはバイオリンの技術の中でも特に難易度が高く、多くの学習者が壁を感じる部分でもあります。
重音をきれいに響かせるコツは、まず2つの音を別々に弾いて正しい音程を確認することです。その後、2本の弦に対して均等に弓の圧力をかける意識を持ちます。どちらか一方の音が強すぎたり、かすれたりしないように、右ひじの角度(高さ)を微調整することが重要です。
練習方法としては、開放弦を使った重音練習から始め、徐々に指を押さえる重音へと進んでいくのが安全です。最初は指がつりそうになるかもしれませんが、左手の形を崩さずにリラックスして押さえる感覚を掴んでください。重音が弾けるようになると、和音による厚みのある演奏が可能になり、ソロ演奏でもオーケストラのような迫力を出せるようになります。
曲の難易度を見極めて挫折しないためのポイント

「この曲が好きだから弾きたい!」という情熱は素晴らしいですが、自分の現在の実力とかけ離れすぎている曲を選んでしまうと、練習が行き詰まり、最悪の場合はバイオリンを弾くこと自体が嫌になってしまう可能性があります。
挑戦することと無謀なことは違います。着実にステップアップしていくためには、自分のレベルより「少しだけ高い」難易度の曲を選ぶのがコツです。ここでは、楽譜を見た時にチェックすべきポイントや、挫折を回避するための心構えをお伝えします。
自分の得意なテクニックと苦手な部分の把握
曲を選ぶ前に、まず自分の「技術の棚卸し」をしてみましょう。「速いパッセージは得意だが、ゆっくりとした曲で音程を保つのが苦手」あるいは「低いポジションは自信があるが、ハイポジションは怖い」など、人によって得意・不得意は異なります。
もし苦手なテクニックを克服したいのであれば、あえてその要素が含まれる曲を選ぶのも良い方法です。しかし、発表会などで失敗したくない場合は、自分の得意な技術が活かせる曲を選んだ方が、自信を持って演奏できるでしょう。
例えば、ビブラートが得意なら「愛の挨拶」や「タイスの瞑想曲」のような歌う曲を、指回しが得意なら「チャルダッシュ」のような技巧的な曲を選ぶといった具合です。自分の強みを知ることは、魅力的な演奏をするための第一歩です。
楽譜の調号や臨時記号の多さをチェック
弾きたい曲の楽譜を手に取ったら、まずは冒頭の「調号(シャープやフラットの数)」を確認してください。中級者であれば、シャープやフラットが3つ、4つ付いている調までは許容範囲かもしれませんが、5つ以上になると指の配置がかなり複雑になります。
また、曲の途中で頻繁に転調があったり、臨時記号(音符の横に付く♯や♭や♮)が大量に出てくる曲は、譜読みに多大な時間がかかります。譜読みに時間を取られすぎると、肝心の演奏表現を磨く時間がなくなってしまいます。
楽譜全体をパラパラと見て、「黒すぎて(音符が多すぎて)見づらい」と感じる場合は、少し難易度が高い可能性があります。もちろん時間をかければ弾けるかもしれませんが、今の自分が無理なく取り組めるレベルかどうか、冷静に判断することが大切です。
模範演奏を聴いてイメージを具体化する
楽譜だけでは曲の難易度や雰囲気が掴みにくい場合は、プロの演奏家による音源や動画を参考にしましょう。YouTubeや音楽配信サービスを活用して、様々なバイオリニストの演奏を聴き比べることをおすすめします。
実際に演奏している映像を見ることで、「どのくらいのポジション移動があるのか」「弓の使い方はどうか」「どのような指使い(フィンガリング)をしているか」といった具体的な情報を得ることができます。特に、自分が「弾けそうだ」と感じるテンポ感や雰囲気であるかどうかが重要な判断基準になります。
また、上手な演奏を聴くことは、モチベーションの維持にも繋がります。「自分もこんな風に弾けるようになりたい」という具体的なイメージを持つことが、練習を継続するための大きなエネルギーとなります。目標となる演奏を見つけて、それを目指して練習計画を立ててみましょう。
バイオリン中級者向け曲への挑戦で表現の幅を広げましょう
バイオリン中級者になると、基礎的な技術の上に、自分らしい表現を積み重ねていく楽しさが生まれます。今回ご紹介した「チャルダッシュ」や「情熱大陸」などの名曲は、単に音を並べるだけでなく、奏者の個性が光る楽曲ばかりです。
曲選びに迷ったときは、まず自分の技術レベル(ポジション移動やビブラートの習熟度)を確認し、少しだけ背伸びをして届くような曲を選んでみてください。そして、クラシックだけでなく、ポップスや映画音楽など、ジャンルを問わず様々な音楽に触れることで、リズム感や表現の引き出しを増やすことができます。
カイザーや音階教本などの基礎練習を地道に続けながら、憧れの曲に挑戦することで、技術は確実に向上していきます。一曲を仕上げるごとに、できることが増え、バイオリンを弾く喜びが深まっていくはずです。ぜひ、あなたにとっての「運命の一曲」を見つけて、素晴らしい音楽の世界を楽しんでください。
焦らず、一歩ずつステップアップしていけば、必ず理想の音色に近づくことができます。これからもバイオリンと共に、豊かな音楽ライフを送ってくださいね。



