「あの、美しいバイオリンの音色から始まる曲は何だろう?」ふと街中やテレビで耳にしたメロディが、ずっと心に残っていることはありませんか。あるいは、自身の結婚式やイベントで、感動的なオープニングを演出するために「バイオリンで始まる邦楽」を探している方もいるかもしれません。
バイオリンの音色には、一瞬で場の空気を変える魔法のような力があります。繊細で切ない旋律から、壮大でドラマチックな響きまで、その表現力は無限大です。日本のポップス(J-POP)やロックシーンにおいても、バイオリンやストリングス(弦楽器隊)を効果的に使った楽曲は数多く存在し、世代を超えて愛され続けています。
この記事では、バイオリンの音色が印象的なイントロを持つ邦楽を、定番のバラードから疾走感あふれるロックバンドまで幅広くご紹介します。「聴きたい曲」を見つけるのはもちろん、「自分で弾いてみたい」という方へのヒントも盛り込みました。美しい弦の響きに導かれて、新しいお気に入りの一曲を見つけてみましょう。
心を掴む!バイオリン(ストリングス)で始まる邦楽の魅力

数ある楽器の中でも、なぜ「バイオリンで始まる」楽曲はこれほどまでに私たちの心を強く揺さぶるのでしょうか。まずは、その魅力と楽曲における役割について、少し深く掘り下げてみましょう。
瞬時に世界観を作る「イントロ」の力
楽曲の第一印象を決める「イントロ(前奏)」は、リスナーを曲の世界へ引き込むための非常に重要なパートです。ギターやドラムで始まる曲が「勢い」や「リズム」を強調するのに対し、バイオリンで始まる曲は「感情」や「物語」を想起させやすいという特徴があります。
弓が弦に触れた瞬間の息づかいや、音が空間に広がっていく響きは、聴く人の集中力を一気に高めます。例えば、静かなバイオリンソロから始まれば「孤独」や「悲しみ」を、華やかなストリングスの合奏で始まれば「愛」や「希望」を、瞬時にイメージさせることができるのです。歌が始まる前の数秒間で、映画のワンシーンのような情景を脳裏に描き出せるのが、バイオリンイントロの最大の強みと言えるでしょう。
「ソロ」と「ストリングス」の音色の違い
「バイオリンで始まる」と一口に言っても、そこには大きく分けて2つのパターンがあります。一つは「バイオリンソロ」による独奏、もう一つは「ストリングス(バイオリン、ビオラ、チェロなどの弦楽器隊)」による合奏です。この違いを知っておくと、曲探しがより楽しくなります。
バイオリンソロのイントロは、演奏者の感情がダイレクトに伝わってくるような、個人的で親密な雰囲気を持ちます。一本の細い糸が紡がれるような繊細さがあり、切ないバラードやシリアスな楽曲によく用いられます。一方、ストリングスのイントロは、厚みのあるゴージャスなサウンドが特徴です。包み込むような温かさや、空へ突き抜けるような壮大さがあり、ラブソングや応援歌などの盛り上がる楽曲で多用されます。検索する際は、この「個の響き」か「集団の響き」かという点にも注目してみてください。
結婚式やドラマのワンシーンのような演出効果
バイオリンの音色は、特別なシーンを彩るのに最適です。特に結婚式においては、新郎新婦の入場や手紙の朗読など、感動を呼びたい場面でバイオリン始まりの曲が選ばれることが非常に多いです。これは、バイオリンの持つ「高級感」や「非日常感」が、ハレの舞台にマッチするからです。
また、テレビドラマの主題歌でも、感動的なクライマックスや次回予告で流れる際に、印象的なストリングスのイントロが使われることがよくあります。私たちは無意識のうちに「バイオリンの音=感動のスイッチ」として記憶しているのかもしれません。日常の中で少しセンチメンタルな気分に浸りたい時や、自分自身を鼓舞したい時に、こうした楽曲を聴くことで、人生というドラマの主人公になったような気分を味わうことができるのです。
【超定番】誰もが一度は聴いたことがあるバイオリン・ストリングスイントロの名曲

ここでは、J-POPの歴史に残る名曲の中から、バイオリン(ストリングス)のイントロがあまりにも有名な楽曲をピックアップしてご紹介します。「あの曲の名前は何だっけ?」という疑問の答えも、きっとここにあるはずです。
MISIA『Everything』
2000年に大ヒットしたドラマ『やまとなでしこ』の主題歌であり、冬のバラードの代名詞とも言える楽曲です。この曲のイントロは、雪が舞い落ちるような繊細で美しいストリングスの旋律から始まります。
静寂の中からゆっくりと弦の音が立ち上がり、徐々に厚みを増していく展開は、まさに王道のストリングスアレンジです。このイントロが流れた瞬間に、ドラマの名シーンや冬の景色を思い出す人も多いでしょう。バイオリンを中心とした弦楽器が、MISIAの圧倒的なボーカルを包み込むようにサポートしており、歌が入る前のわずかな時間で「壮大な愛の物語」を予感させます。カラオケで歌う際も、このイントロ部分でしっかりと感情を作ることができる、完璧な構成の名曲です。
嵐『One Love』
映画『花より男子F(ファイナル)』の主題歌として知られ、結婚式の定番ソングとしても不動の人気を誇る一曲です。明るく華やかなストリングスのファンファーレのようなイントロは、聴く人を一瞬で幸せな気持ちにさせてくれます。
「百年先も愛を誓うよ」という歌詞の世界観をそのまま音にしたような、キラキラとしたバイオリンの響きが特徴的です。厳密にはバンドサウンドやピアノも含まれていますが、主旋律を奏でるストリングスの印象が非常に強く、まさに「バイオリンで始まる曲」として多くの人に認知されています。新郎新婦が入場する瞬間にこのイントロが流れると、会場全体が温かい祝福ムードに包まれる、魔法のような楽曲です。
B’z『LOVE PHANTOM』
ロックユニットB’zの代表曲の一つであり、そのイントロの長さとインパクトで音楽ファンに衝撃を与え続けている楽曲です。この曲の冒頭は、まるでオペラやサスペンス映画の劇伴のような、ドラマチックなストリングスオーケストラから始まります。
歌が始まるまでの約1分20秒間、ストリングスが主役となって物語を紡ぎます。切迫感のあるバイオリンの駆け上がりや、重厚な低音弦の響きが交錯し、聴き手を緊張感のある世界へと引きずり込みます。「ロックバンドの曲なのに、最初は完全にオーケストラ」という意外性が、この曲を唯一無二の存在にしています。バイオリンのかっこよさ、鋭さを存分に味わいたい方には、ぜひフルバージョンで聴いていただきたい一曲です。
Sugar Soul feat. Kenji『Garden』
1999年にリリースされ、日本のR&Bシーンに金字塔を打ち立てた名曲です。後に多くのアーティストによってカバーされていますが、オリジナルのイントロで流れる「カノン進行」をモチーフにしたストリングスの旋律は、あまりにも美しく印象的です。
厳粛なクラシック音楽のような雰囲気で始まり、そこに重厚なヒップホップのビートが重なってくる瞬間は、何度聴いても鳥肌が立ちます。バイオリンの優雅さと、力強いリズムトラックの融合は、当時の邦楽シーンにおいて非常に革新的でした。「静」と「動」のコントラストを楽しめるイントロであり、バイオリンの音色が持つ「神聖さ」が際立っています。朝の目覚めや、新たなスタートを切りたい時に聴きたくなる一曲です。
【ロック・バンド】バイオリンがかっこいい!疾走感あふれる邦楽アーティスト

バイオリンといえばクラシックやバラードのイメージが強いですが、日本のロックシーンには「バイオリンをメンバーに含むバンド」や「ロックサウンドにバイオリンを大胆に取り入れたアーティスト」が存在します。ここでは、激しさと美しさが融合した、かっこいいバイオリン邦楽を紹介します。
BIGMAMA
「バイオリンが入ったロックバンド」と言えば、まず名前が挙がるのがBIGMAMA(ビッグママ)です。彼らの最大の特徴は、ギター、ベース、ドラムという一般的なロックバンドの編成に、専任のバイオリニストがいることです。
彼らの楽曲では、バイオリンは単なる背景音ではなく、ボーカルやギターと同じくらい主役級の役割を果たしています。代表曲の『MUTOPIA』や『The Vanishing Bride』などでは、イントロから攻撃的で疾走感のあるバイオリンのリフが炸裂します。クラシックの名曲(『白鳥の湖』や『運命』など)をロックアレンジした楽曲も多く、「バイオリン=優雅」という固定観念を覆す、エモーショナルで熱い演奏を楽しむことができます。ロック好きでバイオリンの音も好き、という方には必聴のバンドです。
AliA
男女混合の6人組ハイブリッド・ロックバンド、AliA(アリア)も、バイオリニストをメンバーに擁する注目グループです。彼らの楽曲は、力強い女性ボーカルと、キーボード、バイオリンが織りなす煌びやかなサウンドが魅力です。
YouTubeでの再生回数が驚異的な伸びを見せた代表曲『かくれんぼ』では、イントロからバイオリンがリードするキャッチーなメロディが耳に残ります。AliAのバイオリンは、ポップで華やかなフレーズが多く、聴いているだけでワクワクするような高揚感を与えてくれます。アニメの主題歌のようなドラマチックな展開が得意で、若い世代を中心に絶大な支持を集めています。「バイオリンってこんなにポップになれるんだ!」という新しい発見があるはずです。
King Gnu『逆夢』
「トーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイル」を掲げる大人気バンドKing Gnu。彼らはメンバーにバイオリニストはいませんが、楽曲アレンジにおいてストリングスを極めて効果的に使用しています。特に映画『劇場版 呪術廻戦 0』のエンディングテーマとなった『逆夢』は必聴です。
この曲のイントロは、不穏さと美しさが同居するような、独創的なストリングスの響きから始まります。単にきれいなだけではない、どこか歪んだような、それでいて洗練された弦の使い方は、常田大希氏の卓越したセンスを感じさせます。バンドサウンドとオーケストラサウンドがこれほどまでに違和感なく溶け合い、かつ互いを主張し合うアレンジは圧巻です。現代の邦楽シーンにおける、ストリングスアレンジの最高峰の一つと言えるでしょう。
Official髭男dism
「ヒゲダン」の愛称で親しまれるOfficial髭男dismも、ピアノPOPバンドとして知られていますが、実はストリングスサウンドが楽曲の魅力を大きく引き立てています。彼らの楽曲には、サポートメンバーとしてバイオリンなどの弦楽器隊が参加することが多く、ライブでもその共演が見られます。
例えば『Universe』や『Pretender』など、多くのヒット曲において、イントロや間奏でストリングスが重要な役割を担っています。ピアノの跳ねるようなリズムに、流麗なバイオリンの旋律が絡み合うことで、楽曲に広がりと深みが生まれています。彼らの音楽は「グッドメロディ」を大切にしており、そのメロディをより感動的に響かせるためにバイオリンが選ばれていることがよく分かります。歌心のあるバイオリンフレーズを堪能したい方におすすめです。
【シーン別】結婚式やイベントにおすすめのバイオリン始まりソング

ここでは、具体的な利用シーンを想定して、バイオリンで始まる(またはバイオリンが印象的な)おすすめの邦楽をセレクトしました。BGM選びに迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
入場シーン:葉加瀬太郎『エトピリカ』
「邦楽」という枠組みでインストゥルメンタル(歌のない曲)を含めるならば、この曲を外すことはできません。情熱大陸と並ぶ葉加瀬太郎の代表曲であり、テレビ番組『情熱大陸』のエンディングテーマとしても有名です。
ゆったりとしたテンポで奏でられる、優しく温かいバイオリンの音色は、新郎新婦の入場や、パーティーの始まりを告げるシーンに最適です。決して派手すぎず、しかし確かな存在感を持って会場の空気を和ませてくれます。「これから素敵な時間が始まる」という期待感を、上品に演出してくれる一曲です。誰もが一度は耳にしたことがある知名度の高さも、BGMとして使いやすいポイントです。
感動の退場:いきものがかり『帰りたくなったよ』
温かい歌声と親しみやすいメロディで人気のいきものがかり。彼らのバラード『帰りたくなったよ』は、ピアノとストリングスが織りなす優しいイントロが印象的です。
日が暮れていくようなセンチメンタルな雰囲気と、「家」や「大切な人」を想う歌詞が相まって、イベントの締めくくりや退場シーンで流すと涙を誘います。バイオリンの音色が、楽しかった時間の余韻を優しく包み込んでくれるような感覚になります。また、卒業式や送別会など、別れと旅立ちのシーンにも非常にマッチします。バイオリンが持つ「郷愁」を誘う力が存分に発揮された名バラードです。
余興で盛り上がる:星野源『恋』
社会現象にもなった「恋ダンス」でおなじみの星野源『恋』。この曲のイントロは、中国の楽器「二胡」のようなオリエンタルな響きを含んだストリングスアレンジが特徴的です(実際にはバイオリンなどの弦楽器で演奏されています)。
「テテテテ、テテテテ」という軽快なピチカート(弦を指で弾く奏法)のようなリズミカルな導入から、一気に華やかなストリングスサウンドへと展開します。このイントロが流れた瞬間に、会場の誰もが手拍子をしたくなるような、圧倒的な「ハッピー感」があります。結婚式の余興ダンスや、パーティーの乾杯シーンなど、場を明るく盛り上げたい時には間違いのない選曲です。
自分で弾いてみたい!バイオリン初心者にもおすすめの邦楽イントロ

「聴くだけじゃなくて、自分でこのメロディを弾いてみたい!」そう思う方もいるでしょう。バイオリンは敷居が高いイメージがありますが、ポップスのイントロには、初心者でも挑戦しやすく、かつ演奏映えするフレーズがたくさんあります。
弾きやすくて映える曲の選び方
バイオリン初心者が邦楽に挑戦する場合、選曲のポイントは「テンポが速すぎないこと」と「高音への移動が少ないこと」です。いきなり速いパッセージの曲を選ぶと、弓の動きが追いつかずに挫折してしまう原因になります。
おすすめなのは、ゆったりとしたバラード曲のイントロです。例えば、先ほど紹介したMISIAの『Everything』や、中島みゆきの『糸』(多くのアーティストがカバーしており、ストリングスアレンジも多い)などは、ロングトーン(音を長く伸ばすこと)が中心なので、きれいな音を出す練習に最適です。また、一音一音を丁寧に弾くことで、技術以上に感情表現が伝わりやすく、聴き手を感動させることができます。
楽譜サイトや練習用動画の活用
弾きたい曲が決まったら、楽譜を手に入れましょう。現在は、楽器店に行かなくても「ぷりんと楽譜」や「@ELISE(アット・エリーゼ)」などの楽譜配信サイトで、バイオリンソロ用のアレンジ譜を1曲単位で購入できます。「初級」「中級」といった難易度表記があることが多いので、自分のレベルに合わせて選ぶことができます。
また、YouTubeなどの動画サイトも強力な味方です。「曲名 バイオリン 弾いてみた」や「曲名 楽譜」で検索すると、実際に演奏している手元の映像や、ドレミが表示される動画が見つかることがあります。これらを参考に、指の動かし方や弓の使い方を視覚的に学ぶのが上達への近道です。
感情を込めて弾くためのコツ
邦楽をバイオリンで演奏する際の最大のコツは、「歌詞をイメージして弾くこと」です。バイオリンは「歌う楽器」とも呼ばれます。イントロ部分であっても、その後に続く歌詞の世界観や、ボーカリストの息づかいを意識して演奏することで、単なる音の羅列ではなく、意味のある「音楽」になります。
例えば、「悲しい曲なら、弓を弦に吸い付かせるように重く弾く」「明るい曲なら、弓を軽やかに跳ねさせる」といった工夫をしてみましょう。技術的に完璧でなくても、気持ちを込めて弾いた一音には、人の心を動かす力があります。まずは大好きな一曲のイントロ、たった数小節から始めてみてください。その数秒間が弾けた時の喜びは、何物にも代えがたいものです。
まとめ
「バイオリンで始まる邦楽」をテーマに、定番の名曲からロックバンド、そして演奏の楽しみ方までをご紹介してきました。記事のポイントを振り返ってみましょう。
【記事の要点】
・バイオリンのイントロには、一瞬で聴き手を物語の世界へ引き込む力がある。
・MISIA『Everything』や嵐『One Love』は、ストリングスイントロの不朽の名作。
・BIGMAMAやAliAなど、バイオリニストがいるロックバンドは、疾走感とかっこよさが魅力。
・結婚式の入場には『エトピリカ』、退場には『帰りたくなったよ』など、シーンに合わせた選曲がおすすめ。
・自分で演奏するなら、ゆったりとしたバラードのイントロから挑戦するのが上達のコツ。
バイオリンという楽器は、クラシックという枠を超え、日本の音楽シーンにおいて欠かせない「感動のスパイス」となっています。イントロの数秒間に耳を澄ませてみるだけで、普段聴いている音楽がより一層ドラマチックに感じられるはずです。ぜひ、あなたのお気に入りの「バイオリン始まりの曲」を見つけて、その美しい響きを楽しんでください。

