バイオリンを始めたばかりの頃は、どんな曲から練習すれば良いのか迷ってしまいますよね。憧れの難しい曲に挑戦したい気持ちもありますが、まずはバイオリンの入門曲として最適なものを選び、基礎を固めることが上達への近道です。
この記事では、初心者の方が無理なく取り組めるバイオリンの入門曲を厳選してご紹介します。クラシックの名曲から、耳馴染みのあるポピュラーな楽曲まで幅広くピックアップしました。
あわせて、練習を効率的に進めるためのポイントや、楽器の扱い方の基本についてもやさしく解説します。この記事を参考に、自分にぴったりの1曲を見つけて、楽しくバイオリンの練習をスタートさせましょう。
バイオリンの入門曲選びで大切にしたい3つのポイント

バイオリンを習い始めたばかりの方が最初に練習する曲を選ぶときは、単に「好きだから」という理由だけでなく、技術的な難易度を考慮することが非常に重要です。
教則本に採用されている定番曲から選ぶ
バイオリンの世界には、世界的に有名な「スズキ・メソード」をはじめとする優れた教則本が数多く存在します。こうした本に掲載されている曲は、初心者が段階的に技術を習得できるように計算されて配置されています。
例えば「きらきら星」は、リズムのバリエーションを学びながら、基本的な指の形を覚えるのに最適な一曲です。迷ったときは、教則本の最初の方に載っている曲から選ぶのがもっとも確実な方法と言えるでしょう。
定番曲はYouTubeなどで多くの演奏動画を見つけることができるため、お手本となる音を確認しやすいというメリットもあります。耳で音を覚えながら練習することで、正しい音程を身につけやすくなります。
誰もが知っている有名なメロディを選ぶ
知らない曲を譜面通りに弾くのは、初心者にとって非常にハードルが高い作業です。一方で、誰もが口ずさめるような有名なメロディであれば、音程のミスやリズムのズレに自分で気づきやすくなります。
「歓喜の歌(第九)」や「ちょうちょ」などは、メロディラインがシンプルで覚えやすいため、バイオリンの入門曲として非常に人気があります。知っている曲が自分の手から流れてくる感覚は、大きな達成感につながります。
モチベーションを維持するためにも、自分の耳が覚えている曲を選ぶことは大切です。譜面を追うだけでなく、頭の中で鳴っている音を再現するように練習することで、音楽的な表現力も自然と養われていきます。
開放弦や第一ポジションで弾ける曲を選ぶ
バイオリンには「ポジション」という概念がありますが、入門段階では左手を動かさずに弾ける「第一ポジション(ファーストポジション)」の曲に限定して選ぶのが基本です。まずは左手の形を固定することが大切だからです。
また、左手で弦を押さえずに音を出す「開放弦(かいほうげん)」を多く含む曲もおすすめです。開放弦はバイオリンのなかでもっとも響きが良い音なので、綺麗な音を出す感覚を掴むのに適しています。
いきなり高い音や複雑な指の動きを求められる曲を選んでしまうと、姿勢が崩れたり指を痛めたりする原因になります。まずは無理のない範囲で、しっかりとした音を出すことに集中できる曲を選びましょう。
初心者におすすめのバイオリン入門曲リスト

ここからは、具体的にどのような曲が入門曲として適しているのか、具体的な曲名を挙げてご紹介します。難易度順に並べていますので、自分の進み具合に合わせて選んでみてください。
バイオリンの第一歩「きらきら星」
バイオリン学習者なら誰もが一度は通る、もっとも有名な入門曲です。スズキ・メソードでも最初の一曲として採用されており、右手の弓の使い方(ボーイング)の基礎を学ぶのに最適です。
この曲が良い点は、同じ音を繰り返すリズムのバリエーションが豊富なことです。「タカタカッタ」や「タッカ」といったリズムを刻むことで、手首の柔軟性や弓をコントロールする力を養うことができます。
シンプルなメロディですが、音程を完璧に取ろうとすると意外に奥が深い曲でもあります。すべての指を使って弾くため、左手の基本的な形をマスターするための土台作りとして、じっくり取り組む価値のある曲です。
優しく伸びやかな「ちょうちょ」
「きらきら星」の次に挑戦することが多いのが、ドイツ民謡の「ちょうちょ」です。この曲は、弦をまたいで音を出す「移弦(いげん)」という技術の練習に非常に適しています。
隣り合った弦にスムーズに弓を移動させる感覚は、バイオリン演奏において欠かせない要素です。「ちょうちょ」のメロディには適度に移弦が含まれており、滑らかに音を繋げる練習になります。
また、スタッカート(音を短く切る)やスラー(音を繋げる)といった奏法の違いを意識して練習するのにも向いています。短い曲ですが、表現の基礎が詰まった素晴らしい入門曲と言えるでしょう。
力強く奏でる「歓喜の歌(ベートーヴェン)」
年末の第九でおなじみのこのメロディも、バイオリンの入門曲として定番です。非常にシンプルな音の並びで構成されているため、初心者でも比較的早い段階で一曲通して弾けるようになります。
この曲の練習では、しっかりと弓を使って「朗々と響かせる」ことを意識しましょう。力強いメロディなので、バイオリン特有の豊かな音色を出す練習にぴったりです。
指の動きも隣り合った音が多く、複雑な跳躍が少ないため、音程を安定させやすいのが特徴です。迫力のある演奏を目指すことで、弓にかける圧力のコントロールについても学ぶことができます。
【おすすめ入門曲一覧表】
| 曲名 | 難易度 | 練習のポイント |
|---|---|---|
| きらきら星 | ★☆☆☆☆ | リズムと弓の使い方の基本 |
| ちょうちょ | ★☆☆☆☆ | 弦の移動(移弦)をスムーズに |
| むすんでひらいて | ★★☆☆☆ | 正確な音程と指の形 |
| 歓喜の歌 | ★★☆☆☆ | 豊かな音色と弓の圧力 |
| アメイジング・グレイス | ★★★☆☆ | スラーを使った滑らかな演奏 |
癒やしの旋律「アメイジング・グレイス」
ある程度バイオリンの音を出すことに慣れてきたら、この美しい賛美歌に挑戦してみましょう。ゆったりとしたテンポなので、一音一音を丁寧に確認しながら弾くことができます。
この曲のポイントは、音を滑らかに繋げる「スラー」の練習です。一つの弓の動きの中で複数の音を出すスラーは、バイオリンらしい歌うような演奏をするために必須のテクニックです。
情感豊かな曲なので、ただ音を出すだけでなく「どのように歌わせたいか」という音楽的なイメージを持って練習しましょう。心に響く音色を目指すことで、バイオリンを弾く楽しさがさらに深まります。
バイオリン入門曲を効率よく練習するためのステップ

曲を選んだら、いきなり最初から最後まで弾こうとするのではなく、段階を追って練習を進めることが大切です。急がば回れの精神で、着実にステップアップしていきましょう。
まずは譜面を読んで音をイメージする
楽器を持つ前に、まずは楽譜をじっくり眺めてみましょう。どのようなリズムで、どの弦を使って、どの指で押さえるのかを頭の中でシミュレーションすることが重要です。
バイオリンの楽譜には、指番号(1=人差し指、2=中指など)が振られていることが多いです。それを見ながら、ドレミの音階で歌ってみるのも良い練習になります。音程が頭に入っていれば、楽器を持ったときに迷いが少なくなります。
もしリズムが分かりにくい箇所があれば、手拍子を叩きながら確認してみましょう。リズムが不安定だと、音程を合わせることも難しくなります。まずは音楽の全体像を把握することから始めてください。
部分練習で苦手な箇所を克服する
一曲を通しで何度も練習するよりも、苦手な数小節だけを抜き出して集中的に練習する方が、上達のスピードは格段に上がります。スムーズに弾けない場所を見つけたら、そこだけを繰り返し弾いてみましょう。
例えば「弦の移動がうまくいかない」「この指の動きだけ指が回らない」という特定のポイントに注目します。そこをゆっくりとしたテンポで10回連続で成功させるといった目標を立てるのが効果的です。
ゆっくり弾けないものは、速く弾くことはできません。自分の指がどのように動いているかを観察しながら、無駄な力が抜けるまで丁寧に繰り返しましょう。地道な作業ですが、これがもっとも確実な練習法です。
自分の演奏を録音して客観的に聴く
演奏している最中は、自分の音を客観的に判断するのが難しいものです。一生懸命になりすぎて、音程が外れていたり、リズムが走っていたりすることに気づかないケースが多々あります。
そこで活用したいのが、スマートフォンの録音機能です。自分の演奏を録音して聴き返してみると、驚くほど多くの課題が見つかります。最初はショックを受けるかもしれませんが、それが上達への第一歩です。
「思っていたよりも音が小さいな」「ここの音が少し高いな」と気づくことができれば、次の練習で修正すべき点が明確になります。プロのバイオリニストも行っている非常に有効な練習方法です。
練習の最後には、必ず「できたところ」を見つけて自分を褒めてあげましょう。バイオリンは難しい楽器だからこそ、小さな成功体験の積み重ねが継続の原動力になります。
バイオリン入門曲を弾くための正しい基礎技術

曲の練習と並行して、バイオリンという楽器を扱うための基本的なフォームやテクニックを磨くことも忘れてはいけません。基礎がしっかりしていれば、どんな曲にも対応できるようになります。
姿勢と楽器の構え方を安定させる
バイオリンは、体全体を使って演奏する楽器です。まずは足の幅を肩幅程度に開き、リラックスして立ちましょう。楽器は鎖骨の上に乗せ、顎で軽く支えるようにします。左手で支えるのではなく、肩と顎で保持するのが理想です。
構えが不安定だと、左手の指が自由に動かず、音程が不安定になる原因になります。また、無理な力が入ると肩こりや痛みの原因にもなりかねません。鏡を見ながら、姿勢が崩れていないか定期的にチェックしましょう。
背筋を伸ばし、バイオリンが地面と平行か、やや高めになるように保ちます。この正しい構えを身につけることが、綺麗な音を出すための大前提となります。初心者の方は特に意識してみてください。
ボーイング(弓の動かし方)をマスターする
バイオリンの音色は、右手の弓の使い方が8割を決めると言っても過言ではありません。弓を弦に対して垂直に当て、駒(こま)と指板(しばん)のちょうど真ん中あたりを真っ直ぐに動かすのが基本です。
初心者の方に多いのが、弓を動かす際に軌道が斜めになってしまうことです。これでは音がかすれたり、雑音が混じったりしてしまいます。まずは開放弦を使って、長い弓を一定のスピードと圧力で動かす練習を行いましょう。
手首や肘の関節を柔らかく使い、弓の元から先まで均一な音が出るように意識します。ボーイングが安定すると、入門曲のメロディがぐっと本格的なバイオリンらしい音色に変わっていきます。
正確な音程を取るための「指の形」
バイオリンにはギターのようなフレットがありません。そのため、ミリ単位の指の置き場所の違いが音程のズレに直結します。左手の親指をリラックスさせ、他の指がトンネルのような形を描くように弦を押さえます。
指を立てて押さえることで、隣の弦に指が触れるのを防ぎ、クリアな音を出すことができます。最初はなかなか思うように動きませんが、毎日少しずつ弦を押さえる感覚を指先に覚え込ませていきましょう。
音程が不安な場合は、チューナーを使って確認しながら練習したり、指の位置にシールを貼ったりするのも一つの手です。正しい音程を耳で覚え、指が自然にその位置に行くように反復練習を積み重ねましょう。
入門曲をマスターした後に挑戦したい憧れの名曲

いくつかの入門曲を弾けるようになったら、少しステップアップした楽曲にも目を向けてみましょう。新しい技術が必要な曲に挑戦することで、表現の幅がより一層広がります。
優雅な旋律の「メヌエット(バッハ)」
「メヌエット ト長調」は、ピアノでもおなじみの名曲です。バイオリンで弾くと、非常に気品のある響きを楽しむことができます。入門曲から一歩進んで、クラシックの様式美を学ぶのに適した一曲です。
この曲では、軽快なリズムと優雅なスラーの使い分けが求められます。また、少し広い範囲の音程移動が出てくるため、左手の正確性がさらに試されることになります。
有名な曲なので、伴奏音源に合わせて弾くのも楽しいでしょう。他の楽器と一緒に演奏しているような感覚を味わうことで、アンサンブル(合奏)の楽しさにも気づくきっかけになります。
パッヘルベルの「カノン」
結婚式などの定番曲である「カノン」は、バイオリン初心者にとっても大きな目標の一つです。ゆったりと始まり、次第に細かい音符が増えていく構成は、練習の成果を実感するのに最適です。
最初はシンプルな長い音から練習し、少しずつ難しい旋律へと進んでいきます。すべてを原曲通りに弾くのは大変ですが、初心者向けにアレンジされた譜面を使えば、早い段階で挑戦することが可能です。
繰り返されるコード進行に乗せてメロディを奏でるのは、非常に心地よい体験です。多くのバイオリニストに愛されるこの曲をレパートリーに加えることで、演奏への自信が深まるはずです。
ビブラートに憧れる「愛の挨拶(エルガー)」
ある程度バイオリンに慣れてくると、音を揺らして豊かに響かせる「ビブラート」という技法に憧れるようになります。そのビブラートを活かせる名曲が、エルガーの「愛の挨拶」です。
この曲は非常にロマンチックで、バイオリンの魅力を最大限に引き出せる曲の一つです。入門レベルでは少し難しい箇所もありますが、ゆったりとしたメロディ部分は基礎練習としても非常に優秀です。
一音一音に心を込めて、美しく響かせることを目標に練習してみましょう。この曲が弾けるようになると、「バイオリンを弾いている」という実感がさらに強まり、次のステップへの大きな意欲に繋がります。
新しい曲に挑戦する際は、難しすぎて挫折しないよう、自分の現在のレベルよりも「少しだけ難しい」曲を選ぶのがコツです。少しの努力で届く目標設定が、継続のポイントになります。
バイオリンの入門曲をマスターして演奏をさらに楽しむためのまとめ
バイオリンの入門曲を練習することは、単に一曲を弾けるようになるだけでなく、一生役立つ楽器演奏の基礎を築くための大切なプロセスです。まずは自分のレベルに合った曲を選び、焦らずじっくりと向き合ってみましょう。
バイオリン上達のためのポイントをまとめると、以下のようになります。
【この記事の振り返り】
・最初は「きらきら星」や「ちょうちょ」などの定番教則本から選ぶ
・知っているメロディを選ぶことで、音程やリズムのミスに気づきやすくする
・正しい姿勢とボーイングを意識し、基礎技術を疎かにしない
・部分練習や録音を活用して、効率的に苦手を克服する
・一曲完成したら、少しずつ難易度の高い憧れの名曲に挑戦する
バイオリンは、音が出るようになるまでに時間がかかる楽器だと言われます。しかし、お気に入りの入門曲が綺麗に響くようになった瞬間の喜びは、何物にも代えがたいものがあります。
最初から完璧を目指す必要はありません。毎日の練習の中で「今日はこの音が綺麗に出た」「このリズムが上手くいった」という小さな発見を楽しんでください。
素敵なバイオリン生活の第一歩として、まずはあなたのお気に入りの入門曲を見つけ、心を込めて奏でてみましょう。その一歩が、将来の素晴らしい演奏へと繋がっていくはずです。

