バイオリンのチューニングがすぐ狂う原因と対策!安定した音程を保つための基礎知識

バイオリンのチューニングがすぐ狂う原因と対策!安定した音程を保つための基礎知識
バイオリンのチューニングがすぐ狂う原因と対策!安定した音程を保つための基礎知識
弾き方・練習法

せっかくバイオリンの練習を始めようと思っても、何度も音を合わせ直さなければならない状況はとてもストレスを感じるものです。バイオリンのチューニングがすぐ狂うという悩みは、初心者から上級者まで多くの人が経験する問題ですが、実はそこには明確な理由が隠されています。

バイオリンは繊細な木材と金属、そして弦の張力によって絶妙なバランスで成り立っている楽器です。そのため、ちょっとした環境の変化やパーツの状態によって、音程が不安定になってしまいます。この記事では、チューニングが安定しない主な原因を整理し、自分でもできる具体的な解決策を分かりやすく紹介します。

毎日を快適な練習時間にするために、まずは自分の楽器に何が起きているのかを確認してみましょう。適切な知識を持ってメンテナンスを行えば、音程の悩みは大幅に改善されます。この記事を参考に、安定した音色で演奏を楽しめる環境を整えてみてください。

バイオリンのチューニングがすぐ狂う主な原因と仕組み

バイオリンのチューニングが安定しないのには、この楽器特有の構造や素材が大きく関係しています。まずは、なぜバイオリンという楽器がこれほどまでに変化しやすいのか、その基本的なメカニズムを知ることから始めましょう。

木製の楽器であるバイオリンは、周囲の環境をダイレクトに受けてしまいます。その特性を理解することで、日々のトラブルにも冷静に対処できるようになります。ここでは、物理的な要因から素材の性質まで、チューニングを狂わせる根本的な理由を掘り下げていきます。

木材の収縮と湿度の関係

バイオリンの本体は、スプルース(松)やメイプル(楓)といった天然の木材で作られています。木は伐採されて楽器になった後も「呼吸」を続けており、周囲の湿度に合わせて水分を吸収したり放出したりする性質があります。湿気が多いと木が膨らみ、乾燥すると収縮するのです。

木が膨張したり収縮したりすると、弦を支えている駒(こま)の高さや、弦を巻きつけているペグの穴の大きさがわずかに変化します。このほんの数ミリにも満たない動きが、弦の張力に大きな影響を与え、音程を狂わせる原因となります。特に日本の四季による湿度の激しい変化は、バイオリンにとって過酷な環境と言えるでしょう。

梅雨時期には音が上がりやすく、冬の乾燥した時期には音が下がりやすくなる傾向があります。これは楽器全体が伸び縮みしている証拠です。チューニングがすぐ狂うと感じるときは、まず部屋の湿度計を確認してみることをおすすめします。適切な湿度管理こそが、音程を安定させる第一歩です。

温度変化による弦の膨張と収縮

湿度だけでなく、温度の変化もチューニングに直結します。弦の多くは金属や合成繊維で作られていますが、これらの素材は温度が上がると伸び、温度が下がると縮むという物理的な性質を持っています。夏の暑い部屋や、冬に暖房を急につけた直後などは、特に音程が不安定になりやすいタイミングです。

例えば、冷え切った部屋でチューニングを完璧に合わせても、自分の体温や吐息、あるいは練習による摩擦熱で弦が温まると、徐々に音程が下がっていくことがあります。これは弦が熱によってわずかに伸びるためです。コンサート会場などの照明が強い場所でも、同様の現象が起こることがよくあります。

演奏を始める直前だけでなく、練習の合間にもこまめに音を確認する習慣をつけることが大切です。温度変化が激しい場所での練習を避けるだけでも、チューニングの持ちは格段に良くなります。楽器をケースから出した直後は、部屋の温度に楽器を馴染ませてから合わせるのがコツです。

楽器全体の張力のバランス

バイオリンには4本の弦が張られており、それらが合計で約20kgから25kgもの強い力で本体を引っ張っています。この張力は、駒を通じて表板を押し下げ、魂柱(こんちゅう)という内部の柱を伝って裏板まで伝達されます。バイオリンはこの絶妙な張力の均衡によって成り立っています。

もし1本の弦の音程が大きく狂うと、楽器全体にかかる張力のバランスが崩れます。例えば、E線(一番細い弦)を強く締めすぎると、その分だけ楽器の表板にかかる圧力が増し、他の3本の弦の張力に影響を及ぼして音がズレてしまうのです。これは楽器が柔らかい木でできているために起こる現象です。

そのため、チューニングを行う際は、1本ずつ完璧に合わせるのではなく、全体を少しずつ追い込んでいく手法が推奨されます。全体のバランスを意識しながら合わせることで、調整した直後にまた別の弦が狂うといった事態を防ぐことができます。楽器が常に受けている負荷を想像しながら、丁寧に調整を行いましょう。

新しい弦への馴染み期間

弦を新しいものに張り替えた直後は、どんなに高級な弦であっても必ずチューニングが狂います。これは、新しく張られた弦が楽器の張力に慣れるまで、物理的に伸び続けているからです。張り替えてから数日間は、数分弾いただけで音が下がってしまうことも珍しくありません。

特にナイロン弦などの合成繊維を使用したものは、安定するまでに時間がかかる傾向があります。逆にスチール弦は比較的早く安定しますが、それでも馴染むまでは注意が必要です。この期間は「弦が落ち着くまでの辛抱」と考え、頻繁にチューニングを繰り返すしかありません。

重要な本番やレッスンの直前に弦を張り替えるのは避けるべきです。理想的には、本番の1週間前、少なくとも3日前には張り替えを済ませ、十分に弾き込んで弦を伸ばしきっておくのがベストです。新しい弦の輝かしい音色を楽しむためには、この初期の不安定な時期を正しく理解しておく必要があります。

弦の状態がチューニングに与える影響

チューニングが狂う原因の多くは、弦そのものの状態にあります。弦は消耗品であり、使用しているうちに少しずつ劣化していきます。劣化が進むと、どれだけ丁寧にペグを回しても、すぐに音がズレるようになってしまいます。

また、弦の種類によっても音程の安定感は異なります。自分の練習環境や奏法に合った弦を選び、適切な交換タイミングを見極めることが、ストレスのない演奏への近道です。ここでは弦の種類による特性の違いや、交換が必要なサインについて詳しく解説します。

弦の種類と安定性の違い

バイオリンの弦には、大きく分けて「ガット弦」「ナイロン弦」「スチール弦」の3種類があります。これらは芯材に使われている素材が異なり、それぞれチューニングの安定性に大きな差があります。最も安定しにくいのは、羊の腸を素材とした伝統的なガット弦です。

ガット弦は湿度の影響を非常に受けやすく、雨の日などは演奏中にもどんどん音が変わってしまいます。対して、現代の主流であるナイロン弦は、ガットに近い柔らかな音色を持ちつつ、湿度への耐性を高めたものです。しかし、それでも張り替え直後や環境の変化にはそれなりに反応します。

【弦の種類別・安定性の特徴】

・スチール弦:金属製で最も伸びにくく、安定感が抜群です。初心者や分数バイオリンによく使われます。

・ナイロン弦:現在の主流。音色と安定性のバランスが良いですが、張り替え直後は少し伸びます。

・ガット弦:非常にデリケート。豊かな音色ですが、温度や湿度の変化ですぐに狂います。

初心者の場合、まずは扱いやすいナイロン弦か、安定性を重視したスチール弦を選ぶのが無難です。自分の楽器にどの弦が張られているかを知ることで、チューニングが狂う理由がある程度予測できるようになります。

寿命を迎えた弦のサイン

弦を長期間張りっぱなしにしていると、素材が疲労して弾力性を失います。こうなると弦が一定の張力を維持できなくなり、チューニングを合わせてもすぐに緩んでしまいます。また、指の汗や脂によるサビや汚れも、弦の振動を妨げ、音程を不安定にする要因です。

弦の寿命は、練習量にもよりますが一般的に3ヶ月から半年程度と言われています。目に見えるサインとしては、弦の表面を巻いている金属がほどけてきたり(巻き線の緩み)、黒ずんできたりした場合です。また、触ったときにざらつきを感じるようなら、すでに交換時期を過ぎている可能性が高いでしょう。

「最近、なんだかチューニングが合いにくいな」と感じたら、まずは弦の張り替えを検討してみてください。新しい弦に替えるだけで、これまでの苦労が嘘のように解消されることも多いです。練習頻度にかかわらず、少なくとも半年に一度はリフレッシュすることを心がけましょう。

弦の巻き方による緩み

ペグ(糸巻き)に弦を巻き付ける際の方法が正しくないと、滑りやすくなったり、少しずつ緩んだりする原因になります。ペグボックスの中で弦が重なりすぎていたり、逆に巻き数が少なすぎたりすると、強い張力に耐えられず弦が戻ってしまうのです。

正しい巻き方の基本は、ペグの穴に弦を通した後、一度反対側にクロスさせてから、徐々にペグの根元(持ち手側)に向かって隙間なく巻いていくことです。このように巻くことで、弦が自らを締め付ける構造になり、滑りにくくなります。また、ペグボックスの壁に弦が軽く触れる程度に寄せて巻くと、摩擦が増して固定力が高まります。

もし自分で巻いた弦がバラバラに重なっている場合は、一度緩めて巻き直すだけでも効果があります。弦を張るという作業は単純に見えて、実は繊細な技術が必要です。巻き方が綺麗であれば、それだけでチューニングの安定感は飛躍的に向上します。

アジャスターの不備と清掃

テールピース(弦を留めている黒い板)に取り付けられた微調整用の金具、アジャスターもチェックが必要です。アジャスターは便利なパーツですが、ネジの回しすぎや錆びつきによって、逆にチューニングを不安定にさせることがあります。

アジャスターのネジが最後まで締まりきっている状態では、それ以上音を上げられず、無理に回すとネジ山が潰れてしまいます。逆に緩めすぎると、ネジがガタついて雑音の原因になったり、突然外れたりすることもあります。定期的にアジャスターを中間くらいの位置に戻し、ペグで大まかな音を合わせる習慣をつけましょう。

また、アジャスターの可動部に埃が溜まっていたり、金属が腐食していたりすると、スムーズな回転が妨げられます。弦を交換する際には、アジャスターのネジを一度外して汚れを拭き取ったり、専用の潤滑油を極少量差したりするメンテナンスが有効です。細かなパーツの健康状態が、全体の安定を支えています。

ペグやブリッジなどパーツのトラブルをチェック

弦の状態に問題がない場合、次に疑うべきは楽器本体に取り付けられたパーツ類です。特にペグ(糸巻き)と駒(ブリッジ)は、弦の張力を直接受け止める重要な役割を担っています。これらのコンディションが悪いと、どれほど気をつけてもチューニングはすぐに狂ってしまいます。

バイオリンのパーツは接着剤を使わずに、摩擦や圧力だけで固定されているものが多いため、日々の使用で少しずつ位置がズレたり摩耗したりします。ここでは、意外と見落としがちなパーツのトラブルと、そのチェック方法について詳しく見ていきましょう。

ペグが滑る・止まらない問題

「チューニングを合わせようとしても、指を離すとペグが戻ってしまう」というのは、最もよくあるトラブルの一つです。ペグはテーパー(円錐形)状になっており、穴に押し込む力と摩擦で止まっています。乾燥して木が痩せると摩擦が足りなくなり、滑りやすくなります。

この問題を解消するには、まずチューニングの際に「押し込みながら回す」という動作を徹底することが重要です。単に回すだけでは摩擦がかかりません。もし押し込んでも止まらない場合は、ペグの表面に汚れが付着しているか、ペグの形が真円ではなくなってしまっている可能性があります。

一時的な対策としては、専用の「ペグドープ(ペグコンパウンド)」という潤滑剤兼滑り止めを使用するのが効果的です。これをペグの接触面に塗ることで、スムーズに回りつつ、止まりたい場所でピタッと止まるようになります。チョークや鉛筆の芯を塗るといった昔ながらの方法もありますが、楽器を傷めないためにも専用品の使用をおすすめします。

駒(ブリッジ)の傾きと変形

バイオリンの駒は、表板に置いてあるだけで固定されていません。そのため、チューニングで弦を締めたり緩めたりするたびに、弦に引っ張られて少しずつ前後に傾いてしまいます。駒が前(指板側)に傾いたまま放置すると、音程が不安定になるだけでなく、ある日突然駒が倒れたり、最悪の場合は折れたりすることもあります。

駒が傾いていると、弦の張力が表板に対して垂直にかからないため、音が狂いやすくなります。定期的に楽器を横から眺めて、駒の後ろ側(テールピース側)の面が表板に対して垂直になっているかを確認してください。もし前倒しになっている場合は、指で慎重に垂直に戻す必要があります。

駒の調整は非常にデリケートな作業です。自分で行うのが不安な場合は、無理をせずバイオリン工房や先生にお願いしましょう。駒が正しい位置に立っていることは、楽器の鳴りを良くするだけでなく、チューニングを長持ちさせるための絶対条件です。

また、古い駒は弦の圧力で曲がってしまう「反り」が発生することもあります。反ってしまった駒は本来の役割を果たせないため、工房で新しく作り直してもらう必要があります。見た目の歪みには常に注意を払っておきましょう。

上駒(ナット)の溝の摩擦

指板の付け根にある、弦が乗る小さな枕のようなパーツを「上駒(ナット)」と呼びます。ここには弦を通すための溝が彫られていますが、この溝が深すぎたり、摩擦が強すぎたりすると、チューニングの際に弦がスムーズに動かなくなります。

溝で弦が引っかかると、ペグを回しても音が変わらず、さらに回した瞬間に「パキッ」という音とともに急激に音程が変わるといった現象が起こります。これでは微調整が不可能です。また、演奏中に弦が少しずつ溝を滑って移動してしまい、結果として「チューニングが狂う」と感じることになります。

この摩擦を軽減するためには、溝の部分に鉛筆(Bや2Bなどの柔らかいもの)の芯を塗るのが有効です。黒鉛が潤滑剤の役割を果たし、弦の滑りを良くしてくれます。弦交換の際に必ず行うべき定番のメンテナンスです。これだけで、チューニングのストレスが大幅に軽減されるはずです。

魂柱の位置ズレによる影響

バイオリンの内部には「魂柱(こんちゅう)」と呼ばれる一本の木の棒が立っています。これは表板の振動を裏板に伝えるだけでなく、弦の強い圧力から表板を支える構造的な役割も持っています。この魂柱が正しい位置にないと、楽器全体のバランスが崩れ、音程の安定性にも影響が出ます。

魂柱は接着されておらず、単に上下の板の間に挟まっているだけです。激しい衝撃を与えたり、全ての弦を一度に外して張力がゼロになったりすると、倒れたり位置がズレたりすることがあります。魂柱がズレると、楽器が本来持つべき張力の均衡が失われ、特定の弦だけが異常に狂いやすくなることがあります。

「原因が分からないけれど、どうしても特定の弦のチューニングが安定しない」という場合は、魂柱の状態を疑ってみる必要があります。こればかりは自分では判断や調整ができないため、プロの職人(ルシアー)に診断してもらうのが一番です。定期的な健康診断として工房へ持ち込むことを検討しましょう。

環境の変化からバイオリンを守る保管のコツ

バイオリンは生き物のように環境に敏感です。どれだけ高価な楽器であっても、置き場所や扱い方を間違えればチューニングはすぐにバラバラになってしまいます。逆に言えば、環境さえ整えてあげれば、楽器は驚くほど安定してくれます。

多くのトラブルは、急激な温度や湿度の変化によって引き起こされます。日々の保管方法を少し見直すだけで、練習を始める前のチューニング時間を短縮し、より長く楽器と向き合えるようになります。ここでは、楽器に優しい環境作りのポイントを紹介します。

理想的な湿度と温度の管理

バイオリンにとって最も理想的な環境は、「湿度が50%前後、温度が20度前後」と言われています。これは人間にとっても快適な環境とほぼ同じです。特に湿度は重要で、40%を下回ると木材が割れるリスクが高まり、60%を超えるとカビの発生やペグの固着を招きます。

日本でこの環境を維持するには、加湿器と除湿機の活用が欠かせません。特に冬場の乾燥は非常に危険です。加湿器を使って部屋全体の湿度を保つか、ケースの中に楽器用の保湿剤を入れて調整しましょう。逆に夏場の湿気が多い時期は、エアコンのドライ機能などを活用して、楽器に湿気がこもらないように配慮してください。

温度については、特に「急激な変化」を避けることが肝心です。直射日光が当たる窓際や、エアコンの風が直接当たる場所、暖房器具のそばには絶対に置かないでください。温度が変わると弦が伸び縮みし、その瞬間にチューニングが台無しになってしまいます。

ケースの重要性と選び方

バイオリンを守る最大の盾は「ケース」です。演奏が終わったら、面倒でも必ずケースに仕舞う習慣をつけましょう。スタンドに立てたままにしていると、部屋の空気の影響を直接受けてしまい、短時間でチューニングが狂ってしまいます。ケース内はある程度密閉されているため、外気の影響を和らげるバッファ(緩衝材)として機能します。

最近では、断熱性能に優れたハードケースが多く販売されています。カーボン製や高機能合成素材のケースは、外気の影響を受けにくく、チューニングの保持に大きく貢献します。一方で、安価な布製ソフトケースや軽量すぎるケースは、温度変化が伝わりやすいため注意が必要です。

また、ケース内に湿度計を設置しておくのも良い方法です。今の環境が楽器にとって安全かどうかを数値で確認できれば、適切な対策を早めに打つことができます。ケースは単なる持ち運び用のカバンではなく、楽器の健康を守るための装置であると考えましょう。

保管時のアクセサリー活用

環境を一定に保つための便利なアクセサリーがいくつかあります。まずおすすめしたいのが、バイオリン専用の湿度調節剤です。これはケース内に入れておくだけで、湿度が高いときは吸湿し、乾燥しているときは放湿して、常に最適な状態に近づけてくれる優れものです。

さらに、乾燥が非常に激しい場合には「ダンピット」と呼ばれる、F字孔(本体の穴)から差し込んで内部を直接加湿するチューブ状の道具もあります。ただし、これらは使い方を誤ると水漏れの原因になるため注意が必要です。まずはケース内全体の湿度をコントロールすることを優先しましょう。

湿度の高い季節には、カメラ用のシリカゲル(乾燥剤)をケースに入れておくのも一つの手ですが、効きすぎて乾燥させすぎないように注意が必要です。常に湿度計をチェックする癖をつけましょう。

また、楽器を包むシルクやサテンの「楽器用クロス」や「絹製の袋」も有効です。これらは急激な温度変化から楽器を優しく保護し、チューニングの微細な狂いを防ぐ手助けをしてくれます。お気に入りの色のものを選べば、楽器への愛着もさらに深まるでしょう。

持ち運びの際の注意点

外に持ち出すときは、特にチューニングが狂いやすいタイミングです。例えば、冷えた外を歩いてから暖かい室内に入った直後や、車の中に数分放置しただけでも、楽器は大きなダメージを受けます。車内保管は、冬場でも短時間で温度が変化するため、絶対に避けなければなりません。

移動中も、可能な限り温度変化を緩やかにするように努めましょう。急に暖かい部屋に入ったときは、すぐにケースを開けず、数分待ってケースが室温に馴染んでから開けるようにすると、結露や急激なパーツの膨張を防ぐことができます。これはプロの奏者も実践している大切なテクニックです。

また、ケースが衝撃を受けないように慎重に運ぶことも大切です。ちょっとした振動がペグを緩めたり、駒を動かしたりする原因になります。電車やバスで移動する際は、壁に立てかけるのではなく、自分の体に近い位置でしっかりと保持するようにしてください。丁寧な扱いは、そのまま音程の安定につながります。

初心者でもできる!チューニングを安定させる正しい手順

チューニングがすぐ狂うと感じる理由の一つに、合わせ方そのものの不慣れさが関係していることがあります。力任せにペグを回したり、いい加減な位置で妥協したりすると、その後の演奏ですぐに音がズレてしまいます。

正しい手順を身につけることは、音感を養うだけでなく、楽器を傷めずに長持ちさせることにもつながります。ここでは、ペグとアジャスターを使い分け、狂いにくい状態を作り出すための具体的なステップを解説します。

ペグを回すときのコツと手の使い方

ペグ(糸巻き)はバイオリンのチューニングにおいて最も難易度が高い部分ですが、基本さえ押さえればスムーズに扱えます。ポイントは「押し込む力」と「回す力」を同時に使うことです。ペグを回すときは、手のひらでペグボックス(頭の部分)を包み込むように支え、親指と人差し指でペグをしっかりつまみます。

音を上げたいときは、ペグを穴の奥へ押し込みながらゆっくりと回します。この「押し込み」が甘いと、指を離した瞬間にズルズルと戻ってしまいます。逆に音を下げたいときも、急激に緩めるのではなく、抵抗を感じながら少しずつ戻すのがコツです。力任せではなく、木の摩擦を感じながら操作しましょう。

また、「目標の音よりも少し低めから、上向きに合わせる」のが鉄則です。上から下げて音を合わせると、弦のどこかに緩みが残りやすく、弾き始めるとすぐに音が下がってしまいます。必ず下からジワジワと上げ、ベストなポイントで止めるように意識してみてください。

アジャスターで仕上げる微調整の極意

ペグでおおまかな音を合わせたら、最後はアジャスター(微調整金具)で仕上げます。アジャスターは非常に感度が高いため、少し回すだけで音程が変化します。ペグで90%程度まで合わせ、残りの10%をアジャスターで詰めるという役割分担が理想的です。

アジャスターを使うときも、ただネジを回すだけではなく、弓で開放弦を弾きながら(または指で弾きながら)リアルタイムで音の変化を聴くようにしましょう。一度ピタッと合ったら、楽器を軽く振ったり弦を指で弾いたりして、軽く振動を与えてみてください。それで音が変わらなければ、しっかりと固定されています。

もしアジャスターを限界まで締めても音が届かない場合は、無理をせずにアジャスターを一度緩めてから、ペグで再度合わせ直しましょう。アジャスターは「あくまで仕上げ用」と心得て、ペグとのチームワークで最適なチューニングを作り上げることが安定への近道です。

チューナーを正しく活用する方法

最近はスマホアプリやクリップ式のチューナーが非常に便利ですが、使い勝手に頼りすぎるのも禁物です。チューナーの針(インジケーター)が真ん中に来たからといって、すぐに作業をやめていませんか。機械的な「OK」が出た後も、実際に自分の耳で音を聴き、その響きが心地よいか確認することが大切です。

特にバイオリンは、調和したときに楽器全体が共鳴して、一段と大きく響く瞬間があります。その「ツボ」を見つける練習だと思ってチューニングに取り組んでみてください。また、チューニングは必ず「A線(ラ)」から始めましょう。これが世界共通の基準であり、楽器の構造上もバランスが取りやすい順番です。

【標準的なチューニングの順番】

1. A線(ラ):音叉やチューナーを使って正確に合わせる

2. D線(レ):A線と一緒に弾いて和音で合わせる(5度)

3. G線(ソ):D線と一緒に弾いて合わせる

4. E線(ミ):A線と一緒に弾いて合わせる

この「重音で合わせる」という行為自体が、弦の張力バランスを整える役割を果たします。単音だけで合わせるよりも、楽器全体が安定しやすくなります。

弾き始めと練習中のこまめな確認

チューニングは「一度合わせれば終わり」ではありません。木材と弦の性質上、弾き始めてから5分、10分と経つうちに、手の熱や振動で必ずわずかに変化します。そのため、練習の冒頭に完璧に合わせたとしても、しばらく弾いたら再度確認する癖をつけましょう。

特に複雑な曲や激しい運指の練習をしていると、弦が少しずつ引き伸ばされたり、ペグが微妙に動いたりすることがあります。「なんか音色が良くないな」「指の押さえる位置がいつもとズレるな」と感じたときは、演奏技術の問題ではなく、単純にチューニングが狂っているだけかもしれません。

こまめに音を確認することは、正確な音感を養うためのトレーニングにもなります。安定した音程で練習を続けることが、上達への最短ルートです。楽器の変化を敏感に察知できるようになれば、あなたはもうバイオリンと一体になりつつあると言えるでしょう。

バイオリンのチューニングがすぐ狂う悩みから解放されるためのまとめ

まとめ
まとめ

バイオリンのチューニングがすぐ狂うという問題は、楽器の構造や素材、周囲の環境、そして日々のメンテナンス不足など、さまざまな要因が絡み合って起こります。しかし、一つひとつの原因を正しく理解し対策を講じれば、必ず安定した状態を保てるようになります。

まずは部屋の湿度と温度を一定に保つこと、そして演奏後には必ずケースに仕舞うという基本を徹底しましょう。また、弦は消耗品であることを忘れず、定期的な交換を心がけてください。ペグが滑る場合は潤滑剤を活用し、駒が傾いていないか常に目を光らせることも大切です。

チューニングの手順においても、ペグを押し込みながら回すコツや、下から音を上げる基本を守ることで、音程の持ちは格段に良くなります。自分での解決が難しいと感じたときは、早めに専門の工房(ルシアー)に相談することも賢い選択です。プロの調整を受けるだけで、楽器が見違えるように扱いやすくなることがあります。

バイオリンは手のかかる楽器ですが、その分だけ大切に扱えば素晴らしい響きで応えてくれます。音程の悩みから解放され、のびのびと演奏を楽しめる日々を手に入れましょう。今回ご紹介したポイントを、今日からの楽器との付き合い方にぜひ活かしてみてください。

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